一月末から始まった日野市の連続放火事件は三月に入って、十五件目でついに死者を出した。放火現場の百草天神の階段の下に何者かに突き落された少女が死んでいた。四月に入って春休みで混雑する東京駅の階段で上から押されて三十人が将棋倒しになって転げ落ちるという事件がおきた。白髪を逆立てた赤鬼のような男が突き落した犯人として目撃された。目撃者の錯覚か幻影か。しかしその後、佐賀の農道で、また福井の不審火の現場で、まったく同じ白髪鬼が目撃されたのである。東京駅事件の被害者で日野市に住む毎朝新聞社の記者神代金吾は、東京、佐賀、福井に現われた、まったく同じ白髪鬼を現代の怪談として取材に乗り出した。
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読み終わった | 独自評価

| 2010.3.16読了
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